むかしばなし

 むかし むかし あるところに
 わるい きゅうけつき が すんでいました

 わるい きゅうけつき は
 まいにち まいばん まちにあらわれて
 わかい おんなのひとの ちをすうのです

 まちのひとは たいへんおびえ
 まどに にんにくを つるしたり
 じゅうじかを だいて ねむったり しました

 けれど きゅうけつき には ききませんでした

 そんなあるひ
 まちに ひとりのおとこが やってきました
 おとこは たいへんな あばれんぼうで
 よそのまちでも ゆうめいでした

 まちのひとたちは じぶんたちでは
 もう どうにもならないと
 おとこに きゅうけつき を やっつけてほしいと
 おねがいする ことにしました

 けれど おとこは めんどうくさいと いうばかりで
 ちっとも ひきうけてくれません
 まちのひとは こまってしまいました

 そのよる
 また きゅうけつき が あらわれました

 きゅうけつき は わかいむすめを さがして
 いえに しのびこみます
 まどにつるしたにんにくを ひきちぎり
 むすめの にぎったじゅうじかも
 とりあげて なげすててしまいました

 けれど きゅうけつき が
 むすめのちを すおうとした
 そのときです

 きゅうけつき が あけっぱなしにしていた まどから
 あのおとこが はいってきたでは ありませんか

 おとこは いいました
 「これを おれに なげつけたのは おまえか」

 おとこのてには さっき きゅうけつき が
 むすめからとりあげて なげすてた じゅうじかが
 にぎられていました
 
 きゅうけつき が いいました
 「そうだ それがどうした にんげんめ
  じゃまをすると おまえも
  ちをすって ころしてしまうぞ」

 するとおとこは かんかんに おこりました
 そして なんと
 そのよるは きゅうけつき を
 おいはらって しまったのです
 まちのひとは たいへん よろこびました

 そこで まちのひとは もういちど おとこに
 きゅうけつき を たいじしてほしいと
 おねがいしました

 かんかんにおこっていた おとこは
 こんどはそれを ひきうけ
 すぐに きゅうけつきたいじに むかいました

 じゃまをされた きゅうけつき も
 かんかんに おこっていました

 しかえしを してやろうと
 じぶんのしろで かんがえごとを していたのですが
 おとこが やってきたと しって
 びっくりして しまいました

 あわてて きゅうけつき は
 つかいまや まほうをつかって
 おとこを おいかえそうと しました

 おとこも たくさんの つかいまや まほうに
 くせんしましたが
 うわさどおりの おおあばれで
 ついに きゅうけつき を
 たいじすることが できました

 まちのひとは おおよろこびです

 まちに むかえられた おとこは
 たすけたむすめと けっこんし
 しあわせに くらしました

 めでたし めでたし



 おしまい



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