SOLILOQUY
 一つ、良い事を教えてやろう。
 君自身が思う程、君という存在は英雄的(ヒロイック)ではないのだよ。
 かといって、悲劇的(トラジック)でもないのだよ。
 判るかね。
 宜しい。
 では、それで、その上で君は。
 一体、君は一体。
 君自身の何に酔っているのかね。
 滑稽な事だ。
 それは実に、実に滑稽な。
 それでは、今一度訊こう。

 君は何故――
 ――君自身を、滅ぼそうというのかね?



 一つ、知った上で話そう。
 私自身が思うほど、私という存在は英雄的(ヒロイック)ではない。
 かといって、悲劇的(トラジック)でもない。
 判っているとも。
 無論。
 そう、それで、その上で私は。
 だから、私はだからこそ。
 私自身の境遇に酔っている。
 滑稽な事だとも。
 それは実に、実に滑稽な。
 それでは、問いに答えよう。
 
 私というものは、滅びを演じてこそ――
 ――ようやっと劇的(ドラマ)になるのだよ。



 知っているかね。
 知っているとも。
 外から見た君を。
 内から見た私を。

 だからこそ。
 尚一層、知らねばならぬ。

 狭間にある、それを。
 見えているであろう、真の姿を。
 
 それはとても――
 ――平凡なものだと。


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