ちまちま生えるの巻
「ちまちま〜?」
 その日、ちまちまは生えていた。
「ちまー……」
 天気があまり良くないので、元気が無い。でも、まだ腰くらいまでしか生えていないので、その場から動くことができない。
「ちまーっ!」
 晴れるか降るかにしろ! と、空に向かって講義してみるが、そんなことがお天道様に通じるわけも無く、曇った空を呆然と見上げながら、ちまちまは小さくため息をつく。
「ち……」
 曇ったままでは何もすることが無い。やむなく、ちまちまはじっとしておく事にした。
 それからしばらくして、風が空を覆っていた灰色の雲を西の方へ吹き流し、もう暮れ掛けた橙色の夕陽が顔を覗かせた。
「ちまー!!」
 もう西日でしかないが、今日一日ずっと曇っていたことを考えると、ちまちまにはうれしい日光だ。ここぞとばかりに光合成をして、しっかり酸素を作っておく。
 しかし、西日は西日、すぐに地平線の下に隠れてしまった。
「ちまちまー……」
 なにか寂しいちまちま。
 ……明日は晴れると良いね。

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