900×900 => 250×250
IBA_68.png/773KB
|
| 何をか云ひて、笑んだ手に。 針金細工と樹脂の花。
-----
「あの人は、俺を好きにはならない」
誰に向けて、語るものか。 解り切ったこと。
「連れ合っているのが、異性でも、同性でも。 見ている分には何とも思わなくとも。 己の『相手』として許容できるかの可否は決まっている。 嗜好は変えられない。変わらない」
「俺は、あのひとにとって、『違う』のだ」
「若しも、初めから。 俺があのひとに『合う』ほうに、生まれていたとしたら。 想いを告げた時点で、『否』だったろう」
「あの人にとって。 『可』であれるのは。 ひとりだけだ」
「今から、『合う』ほうに、成れるとしても。 何も変わりはしないだろう。 『否』が可の皮を被ったところで。 ただのまやかしだ」
誰に向けて、語るものか。 解り切ったこと。
「あの人は、『俺』を、好きには、ならない」
「だから。 いつか」
「俺以外に、好きになる相手が、現れたら」
「現れる、までは。 自惚れていても、いいだろうか」
|